今日覚えた薬理や病態を、次はいつ復習すればよいのでしょうか。
翌日でしょうか。3日後でしょうか。それとも、1日後、3日後、7日後、14日後と少しずつ間隔を広げていけばよいのでしょうか。
国家試験対策について調べると、エビングハウスの忘却曲線を根拠として、決められた日数ごとに復習する方法が紹介されることがあります。
時間を空けて復習するという方向性には、学習科学の研究からかなり強い根拠があります。
一方で、すべての薬学生が1日後、3日後、7日後、14日後に復習すれば最適になると確認されたわけではありません。
むしろ研究から分かっているのは、適切な学習間隔は、最終的にいつまで覚えていたいかによって変わることです。
また、薬学生を直接対象とした研究でも、分散して学習することの利点は確認されている一方、どのように間隔を並べるのが最もよいかについては研究によって結果が異なっています。
この記事では、エビングハウスの忘却曲線、分散学習の大規模研究、医療専門職教育の研究、そして薬学生を直接対象にした研究まで確認し、薬剤師国家試験の復習タイミングをどう考えればよいか整理します。
読み終えるころには、少なくとも次の判断ができる状態を目指します。
- 1日後・3日後・7日後・14日後という日程を絶対に守る必要があるか
- エビングハウスの忘却曲線から本当に分かることは何か
- 今日学習した内容を次にいつ確認するか
- 復習で正解できた場合とできなかった場合に、次回間隔をどう変えるか
- 国家試験まで長く知識を残すために何を重視するか
最初に結論
全員に共通する科学的な最適復習日として、1日後・3日後・7日後・14日後が確立しているわけではありません。一方、時間を空けて学習する分散学習には多くの研究があります。国家試験対策では、復習日を最初からすべて固定するより、時間を空けて自力で思い出し、できたら次回間隔を長くし、できなければ短くする方法が考えやすいでしょう。
なお、この記事で紹介する具体的な復習方法は、学習科学の研究を薬剤師国家試験対策へ応用するための提案です。薬剤師国家試験受験者を対象として、この復習モデル自体の最適性が直接検証されているわけではありません。
薬剤師国家試験の復習に1日後・3日後・7日後・14日後という絶対的な正解はない
まず、復習は何日後がよいのかという疑問に直接答えます。
1日後、3日後、7日後、14日後という復習日程を利用すること自体が間違いなのではありません。
問題は、それをエビングハウスが証明した唯一の最適スケジュールとして扱うことです。
Cepedaらの2006年メタ分析では、184論文、317実験、839の比較が検討されました。
その結果、学習と学習の間隔だけでなく、最後に知識を必要とするまでの期間も、最終的な保持に関係することが示されています。
つまり、来週の定期試験まで覚えておきたい場合と、数か月後の薬剤師国家試験まで知識を使える状態にしておきたい場合では、同じ復習間隔が最適とは限りません。
分散して復習することと固定日程を守ることは別の話
ここは区別して考える必要があります。
| 考え方 | 研究からの位置づけ |
|---|---|
| 同じ内容を一度に詰め込まず、時間を空けて再び学習する | 多くの研究蓄積がある |
| 保持したい期間によって適切な間隔が変わる | 研究で確認されている |
| 全員が1日→3日→7日→14日に復習する | 普遍的な最適解としては確認されていない |
| 薬剤師国家試験では特定の日程が最適 | 直接検証されていない |
したがって、国家試験対策で取り入れたいのは固定された数字そのものではなく、学習を一日に集中させず、時間を空けて再び取り出すという原則です。
エビングハウスの忘却曲線は何%忘れたかを示したグラフではない
忘却曲線については、もう一つ重要な誤解があります。
エビングハウスの実験について、1日後には約67%忘れる、約33%しか覚えていない、と説明されることがあります。
しかし、エビングハウスが用いた代表的な指標は、現在のテストでいう正答率ではありません。
Savingsと呼ばれる再学習時の節約量です。
Savingsは覚えている問題数ではなく、覚え直す手間がどれだけ減ったかを見る
例えば、ある内容を最初に覚えるまで25回の反復が必要だったとします。
時間を空けて同じ内容を学び直したところ、今度は20回で同じ基準まで到達したとします。
最初より5回少なく済んでいるため、25回に対して5回、つまり20%分の学習が節約されたと考えます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 初回学習 | 25回 |
| 再学習 | 20回 |
| 省けた反復 | 5回 |
| Savings | 5÷25=20% |
MurreとDrosの2015年研究でも、このSavings法を用いてエビングハウス型の忘却曲線がおおむね再現されました。
この再現研究では被験者1人が約70時間をかけて無意味綴りを学び、20分、1時間、9時間、1日、2日、31日後に再学習しています。
1日後のSavingsと1日後の正答率は同じではない
Savingsは、学習した内容のうち何%を正答できたかという指標ではありません。
MurreとChessaの2023年研究でも、Savingsは再学習時にどれだけ学習時間や労力を節約できたかを見る指標として検討されています。
そのため、忘却曲線上のSavingsの数値を、そのまま薬学生が覚えている知識の割合や国家試験の正答率へ読み替えることはできません。
覚えておきたい点
忘却曲線から読み取るべきなのは、1日後に何%の知識を失うかという固定値ではなく、時間経過とともに再学習の必要性が変化するという基本的な現象です。
時間を空けて復習する分散学習にはどの程度の根拠がある?
エビングハウスの古典的研究だけで、現在の国家試験対策を決める必要はありません。
その後、学習を時間的に分散させるSpacing Effect、Distributed Practiceについて、多数の研究が行われています。
317実験をまとめたメタ分析でも学習間隔と保持期間の関係が確認された
Cepedaらの2006年メタ分析では、184論文、317実験、839の比較が統合されています。
この研究で重要なのは、単純に間隔を空ければよいというだけではなく、学習間隔と最終的に保持したい期間が共同して最終成績へ影響するという点です。
医療専門職教育でも分散学習・想起練習を支持する研究が多い
一般的な心理学実験だけではありません。
Trumbleらの2024年の系統的レビューでは、医療専門職教育の56研究、63実験が対象となり、そのうち43実験で分散学習または想起練習について比較条件より有意な利益が報告されました。
一方、研究によって学習内容、復習方法、間隔、評価方法、フィードバックの有無などが異なります。
つまり、医療教育でも分散学習を取り入れる根拠はありますが、そこから全員共通の○日後という答えを作ることはできません。
2026年の医療教育メタ分析でもSpaced Repetitionを支持
さらに2026年には、医療教育におけるSpaced Repetitionを対象とした系統的レビュー・メタ分析が公表されています。
MayeとHurleyの研究では、14研究が系統的レビューに入り、そのうち13研究、21,415人がメタ分析の対象となりました。
通常の学習方法と比較した統合効果は、標準化平均差0.78、95%信頼区間0.56~0.99で、Spaced Repetitionを支持する結果でした。
研究にはフラッシュカード、多肢選択問題、メールによる問題配信、授業中のクイズなど複数の実施方法が含まれています。
一方で、著者らは、最適な設計や提供方法、より長期の成績については今後の研究が必要としています。
復習は何日後がいい?いつまで覚えたいかで適切な間隔は変わる
では、具体的に何日空ければよいのでしょうか。
この問いを考えるうえで重要なのが、Cepedaらの2008年研究です。
1,350人を超える参加者が事実情報を学習し、最初の学習から復習までの期間を最大3.5か月、復習から最終テストまでを最大1年間として検討しました。
間隔は短すぎても長すぎても最大の保持にならなかった
結果は、間隔を長くすればするほど成績が上がるという単純なものではありませんでした。
一定の最終テスト時期に対して、学習間隔を広げていくと最終保持はいったん改善し、その後低下しました。
そして、最終テストまでの期間が長いほど、最も良い成績となる学習間隔も長くなりました。
1週間後の保持では最適な間隔が保持期間のおよそ20~40%、1年後の保持ではおよそ5~10%だったと報告されています。
ここから国家試験の復習日をそのまま計算しません。
この20~40%、5~10%という値を、国家試験までの日数へそのまま掛けて復習日を決めるのは避けます。研究で使用した教材や参加者、学習条件は薬剤師国家試験対策そのものではありません。重要なのは、保持したい期間によって適切な間隔が変化したという点です。
定期試験と国家試験を同じ復習間隔で考えない
薬学部では、直近の定期試験に向けた勉強と、数か月先の国家試験へ向けた勉強が同時に進むことがあります。
来週まで覚えておけばよい知識と、国家試験本番でも使いたい知識では、必要な保持期間が違います。
そのため、国家試験対策では、毎日同じ内容を確認し続けるだけではなく、一度できるようになった内容について、少しずつ間隔を広げても再現できるか確認するという考え方が重要になります。
薬学生を対象にした研究では分散学習はどうだった?
ここまでは一般的な学習科学や医療教育全体の研究でした。
薬学生向けの記事として特に確認しておきたいのが、UNC Eshelman School of Pharmacyで行われた研究です。
2018年研究では医薬品100種類の商品名・一般名を学習
Terenyiらの2018年研究では、薬学生が100種類の一般的な医薬品について商品名と一般名の対応を学習しました。
学習方法を複数の条件に分け、長期保持を比較した結果は次の通りでした。
| 学習条件 | 長期保持 |
|---|---|
| Study only | 46% |
| Massed practice | 50% |
| Expanding | 58% |
| Equal | 59% |
| Contracting | 67% |
この研究ではcontracting scheduleが最も良い結果となり、複数のspacing条件はいずれも集中練習やstudy onlyより高い長期保持を示しました。
最終試験で約95%でも6週間後には約55%だった
この研究でもう一つ注目したいのが、最終試験と長期保持テストの差です。
学生の全体成績は最終試験時に約95%でしたが、6週間後の長期保持では約55%でした。
ここから、薬学生は6週間で何%忘れる、と一般化することはできません。
対象となったのは特定の薬学生集団による商品名・一般名学習だからです。
それでも、国家試験対策を考えるうえで重要な示唆があります。
試験で解けたことと、数週間後にも自力で取り出せることは同じではありません。
過去問を3周した、模試で正解した、昨日説明を読んで理解できたという状態だけでは、国家試験本番まで保持できているかは分かりません。
2019年の追加研究ではExpandingが最も良好だった
ただし、2018年の結果だけを見て、薬学生にはcontracting scheduleが最適と結論づけるのも適切ではありません。
同じ研究グループの2019年研究では、今度はexpanding scheduleが最も高い長期保持を示しました。
contractingとの差は小さく、equalとの差も明確ではありませんでした。
つまり、薬学生そのものを対象とした研究でも、2018年にはcontracting、2019年にはexpandingが最良という違いが生じています。
この結果は、どちらかの研究が間違っているという意味ではありません。
研究条件、具体的な間隔、学習内容などによって結果が変化し得ることを示しています。
薬学生研究から取るべき結論
分散して何度も取り出すことには支持がある一方、最も良い間隔の並べ方を一つに固定する根拠は十分ではありません。
薬剤師国家試験向けの可変間隔復習モデル
ここまでの研究を踏まえると、国家試験対策では、すべての知識について最初から復習日を固定するより、復習したときの自分の状態によって次回間隔を変える方法が使いやすいと考えます。
以下は薬剤師国家試験について直接検証されたアルゴリズムではなく、本記事で紹介した研究知見を国家試験対策へ応用するための当サイトの提案です。
| 復習したときの状態 | その場で行うこと | 次回間隔 |
|---|---|---|
| 自力では思い出せない | 答えと根拠を確認し、教材を閉じてもう一度答える | 短めにする |
| ヒントがあれば思い出せる | ヒントなしでも再現できるか確認する | 大きく伸ばさない |
| 正解したが根拠が曖昧 | なぜそう判断するかまで説明する | 少し伸ばす |
| 何も見ず正解し、根拠も説明できる | その日の復習を終了する | 前回より伸ばす |
| 長い間隔を空けても複数回再現できる | 低頻度の確認へ移す | さらに伸ばす |
初回復習は1~3日程度を仮の出発点にしてもよい
何も目安がないと実践しにくいため、例えば新しく学習した範囲について、最初の確認を1~3日程度の範囲に置く方法は考えられます。
1~3日後が薬剤師国家試験の科学的な最適復習日として証明されているわけではありません。
分散学習を実行しやすくするための初期設定例です。
重要なのは、その後です。
- 時間を空ける
- 教材を見る前に思い出す
- どこまで再現できたか確認する
- できたら次の間隔を伸ばす
- できなければ次の間隔を短くする
この繰り返しで、日付だけではなく現在の記憶状態を次回復習日の判断材料にします。
復習日になったら最初に教材を開かない
復習日にノートや参考書を最初から読み直すと、見れば分かる状態と、自力で取り出せる状態を区別しにくくなります。
Terenyiらの2019年研究では、医薬品名を思い出す際に最初の3文字をヒントとして与えた条件で、長期保持がわずかに低下しました。
この結果だけから、ヒントは常に悪いとは言えません。また、分からないまま長時間考え続ける必要もありません。
国家試験対策へ応用するなら、まず短時間だけ自力で答えようとし、その後に教材や解説を確認するという順番が使いやすいでしょう。
一日の中で何度も正解するだけでなく、別の日にも再現する
今日一度覚えられた内容を、その日のうちに何度も連続して確認すると、短時間ではかなり答えやすくなります。
しかし、国家試験対策で確認したいのは、数分後ではなく、数日後やさらに先にも取り出せるかです。
この考え方と相性がよいのがSuccessive Relearningです。
Successive Relearningは、一度正しくできるまで学習した後、時間を空けた別の学習日でも、再び正しくできるまで学び直す方法です。
Rawsonらの2018年研究では、この方法と長期保持の関係が検討されています。
その後のRawsonとDunloskyによる2022年レビューでも、知識を獲得・維持する有望な方法として整理されています。
薬剤師国家試験について、必ず何日に何回成功すればよいと直接検証されたものではありません。
それでも、今日3回連続で正解したかより、時間を空けた複数の日に自力で再現できるかを見るという判断には利用できます。
薬剤師国家試験の勉強ではどう使えばいい?
復習間隔は、科目名ごとに固定する必要はありません。
同じ薬理でもすぐに思い出せる内容と毎回混同する内容があります。同じ過去問でも、根拠まで説明できる問題と、答えの位置だけ覚えている問題があります。
復習頻度は、科目よりも一つひとつの知識や問題の現在地で変える方が扱いやすくなります。
過去問は正解した日ではなく、時間を空けた後の再現まで確認する
過去問で一度正解したからといって、その問題を永久に復習対象から外す必要はありません。
- 正答の根拠を説明できるか
- 誤っている選択肢のどこが違うか
- 条件が変わっても同じ考え方を使えるか
- 時間を空けた後も同じ判断を再現できるか
まで確認します。
本記事では復習タイミングに絞って扱うため、誤答分類や解き直し手順は別記事で詳しく扱います。
薬理・病態では名称だけでなく関係を再現する
例えば薬理で、薬の名称と作用機序を覚えたとします。
復習日に薬の一覧表を最初から読み直すのではなく、教材を閉じた状態で、作用点、作用の結果、適応、副作用との関係をどこまで説明できるか確認します。
病態・薬物治療でも、疾患名と治療薬を単独で覚えているだけなのか、病態から治療選択までつなげて説明できるのかを確認します。
この具体的な想起方法は、想起練習・テスト効果の記事で詳しく扱います。
暗記カードは全カードを毎日同じ回数見る必要はない
暗記カードや一問一答も、全項目を毎日最初から確認すると、すでに安定している知識に多くの時間を使うことになります。
自力で再現できないカードは早めに再確認し、複数回、長い間隔でも正解できるカードは復習頻度を下げます。
このように学習状態によって復習頻度を変えると、限られた時間を不安定な知識へ回しやすくなります。
復習効率を下げやすい4つのやり方
1.1日・3日・7日・14日をすべての知識へ機械的に当てはめる
この日程を予定表として利用すること自体には問題ありません。
ただし、簡単に再現できる知識も、毎回忘れる知識も、同じ日程で復習し続ける必要はありません。
できるようになった知識は間隔を広げ、不安定な知識は短くする方が、可変的な復習設計になります。
2.復習日にノートを読み返すだけで終了する
読み直すことは、内容を理解し直したり、忘れた部分を確認したりするために必要です。
一方、教材を見ている状態では、自力で取り出せるかを判断しにくくなります。
最初に短く思い出してみる。その後、分からなかったところを読み直す。この順番にすると、自分が何を保持できているか確認できます。
3.一度正解した問題を二度と確認しない
直後の正解と長期保持は同じではありません。
2018年の薬学生研究でも、最終試験時の高い成績が6週間後までそのまま維持されたわけではありませんでした。
重要な知識については、時間を空けた後にも再現できるか確認します。
4.ヒントを見ながら覚えていると判断する
解説を見れば分かる。選択肢を見れば思い出せる。語呂の最初だけ見れば答えられる。
これらは学習途中では役立ちますが、ヒントなしで取り出せる状態とは分けて考えます。
2019年の薬学生研究では、最初の3文字を提示して想起を容易にした条件で、長期保持がわずかに低下しました。
ただし、答えられない状態を長時間放置する必要はありません。
まず思い出す機会を作り、できなければ正答を確認して、改めて自力で再現します。
よくある質問
- 1日後・3日後・7日後・14日の復習は間違いですか?
-
間違いとはいえません。分散学習を実践するための分かりやすい予定表として使うことはできます。ただし、この日程がエビングハウスによって証明された唯一の最適スケジュールというわけではありません。実際の復習では、思い出せた内容は次回間隔を伸ばし、思い出せなかった内容は短くする方法が考えられます。
- 毎日同じ範囲を復習した方が覚えられますか?
-
学習初期や苦手な内容では短い間隔で確認することがありますが、長期保持を目的とする場合、時間を空けて再び学習する分散学習には多くの研究があります。すでに安定して再現できる内容まで毎日確認するのではなく、できるようになった内容は少しずつ間隔を広げる方法が考えられます。
- 忘れてから復習した方がいいですか?
-
完全に思い出せなくなるまで待つ必要はありません。間隔を空けることで想起にある程度の負荷をかける意味はありますが、長すぎる間隔が常に優れているわけでもありません。自力で思い出そうとし、できなければ正答を確認して再学習してください。
- 間違えた過去問は何日後に解き直せばいいですか?
-
すべての誤答に共通する最適日数はありません。解説を確認した直後に一度自力で再現し、その後は短めの間隔で再確認します。再現できれば次回間隔を伸ばし、再び間違えた場合は短くする方法が使いやすいでしょう。過去問の誤答分類と解き直し手順は別記事で詳しく扱います。
- Ankiなどの間隔反復アプリを使えばいいですか?
-
多数の暗記事項を管理する方法の一つとして利用できます。2026年の医療教育メタ分析にもフラッシュカードを利用したSpaced Repetition研究が含まれています。ただし、特定アプリの復習アルゴリズムが薬剤師国家試験受験者にとって最適だと直接検証されたわけではありません。アプリを使う場合も、復習時に自力で思い出すことと、苦手な内容へ学習時間を配分することを重視してください。
まとめ|復習日はカレンダーだけでなく、思い出せたかで決める
薬剤師国家試験の復習タイミングについて、研究から確認できることを整理すると次のようになります。
- 時間を空けて学習する分散学習には多くの研究蓄積がある
- 医療専門職教育でも分散学習・想起練習を支持する研究が多い
- 薬学生を直接対象とした医薬品名学習でもspacingの利点が確認されている
- 適切な学習間隔は、最終的にいつまで覚えたいかによって変化する
- 薬学生研究でも最良だったspacingの並べ方は2018年と2019年で異なる
- エビングハウスの忘却曲線は、1日後に何%の知識を忘れるかを直接測ったものではない
- 1日後・3日後・7日後・14日後を科学的な唯一の最適日程とはいえない
国家試験対策へ落とし込むなら、復習日を最初から最後まですべて固定する必要はありません。
- 学習する
- 時間を空ける
- 教材を見る前に一度思い出す
- 思い出せなければ確認して再学習する
- 思い出せたら次回の間隔を伸ばす
- 別の日にも再び再現できるか確認する
復習日は、カレンダーだけで決めない。
時間を空けて自力で思い出し、できれば次を長く、できなければ次を短くする。
そして、ここで次に問題になるのが、復習日に具体的に何をすればよいのかです。
ノートを読み直すのか。問題を解くのか。何も見ずに説明するのか。
次の記事では、分散学習と並んで研究蓄積の多い想起練習・テスト効果を取り上げ、薬剤師国家試験では読む勉強と、思い出す勉強をどう使い分ければよいか整理します。
この記事で確認した主な学術論文
- Murre JMJ, Dros J. Replication and Analysis of Ebbinghaus’ Forgetting Curve. PLOS ONE. 2015;10(7):e0120644. 論文ページ
- Murre JMJ, Chessa AG. Why Ebbinghaus’ savings method from 1885 is a very ‘pure’ measure of memory performance. Psychonomic Bulletin & Review. 2023;30(1):303-307. 論文ページ
- Cepeda NJ, Pashler H, Vul E, Wixted JT, Rohrer D. Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin. 2006;132(3):354-380. PubMed
- Cepeda NJ, Vul E, Rohrer D, Wixted JT, Pashler H. Spacing effects in learning: a temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science. 2008;19(11):1095-1102. PubMed
- Trumble E, Lodge J, Mandrusiak A, Forbes R. Systematic review of distributed practice and retrieval practice in health professions education. Advances in Health Sciences Education. 2024;29:689-714. 論文ページ
- Maye JA, Hurley F. The Effectiveness of Spaced Repetition in Medical Education: A Systematic Review and Meta-Analysis. The Clinical Teacher. 2026;23(2):e70353. PubMed
- Terenyi J, Anksorus H, Persky AM. Impact of Spacing of Practice on Learning Brand Name and Generic Drugs. American Journal of Pharmaceutical Education. 2018;82(1):6179. 論文ページ
- Terenyi J, Anksorus H, Persky AM. Optimizing the Spacing of Retrieval Practice to Improve Pharmacy Students’ Learning of Drug Names. American Journal of Pharmaceutical Education. 2019;83(6):7029. 論文ページ
- Rawson KA, Vaughn KE, Walsh M, Dunlosky J. Investigating and explaining the effects of successive relearning on long-term retention. Journal of Experimental Psychology: Applied. 2018;24(1):57-71. PubMed
- Rawson KA, Dunlosky J. Successive Relearning: An Underexplored but Potent Technique for Obtaining and Maintaining Knowledge. Current Directions in Psychological Science. 2022;31(4):362-368. 論文ページ
学習方法の研究は、対象者、学習内容、評価時期、復習方法によって結果が変わります。本記事では、個々の研究結果を薬剤師国家試験へそのまま一般化せず、複数の研究で比較的共通して確認できる原則を中心に紹介しています。
